- 歩いてしばらくすると、足が痛くなったりしびれる
- 腰が重い
- 肩から手指にかけて痛みやしびれがある
- 手や指先に力が入らない、動かしにくい
脊柱管狭窄症の方の多くはこのような症状をまず訴えることがあります。
このような脊柱管狭窄症の症状に心当たりのある方は、ここから先をぜひ読み進めてください。
脊柱管狭窄症のこんな症状に心当たりはありませんか?
特に、脊柱管狭窄症で特徴的なのが間欠跛行(かんけつはこう)です。
これは、歩き始めは普通に歩けるのですが、長時間や長距離歩いていると、徐々に痛みやしびれが出現し、人によっては歩けなくなります。
しかし、座ったりして少し休むことで症状は改善し、また歩けるようになります。
間欠跛行の症状は強くなると、人によっては数十メートルや数分の歩行も困難になります。
また他にも脊柱管狭窄症では、
・排尿障害(頻尿、尿失禁、残尿感など)
・排便障害(便秘など)
・会陰部のしびれ感や灼熱感
・間欠性跛行と同時に疼痛を伴う陰茎勃起
などの症状が出ることもあるとされています。
どうして脊柱管狭窄症が起こるの?
脊柱管狭窄症の症状に詳しくなるために、まずは背骨の構造から切り開いてみていきましょう。
みなさんが良く見る人体模型の背骨の部分は専門的には脊柱と言います。
脊柱は小さな脊椎と呼ばれる骨が繋がったものです。
脊椎は部位によって分類されていて、
首は頚椎(7個)
胸は胸椎(12個)
腰は腰椎(5個)
腰椎の下に仙骨、尾骨
が繋がっています。
脊柱管狭窄症で狭窄が起こるのは脊柱管と呼ばれる場所です。
脊柱管とは、脊柱の背中側にある、神経の通り道でトンネルのようになっている部分です。
脊柱管狭窄症では、この神経の通り道である脊柱管が、なんらかの原因で狭くなってしまうために起こります。
脊柱管狭窄症は、以下の3つのタイプに分類されます。
①神経根型脊柱管狭窄症
背骨からでている神経はお尻や太もも、足先までつながっています。
その神経の根本の部分を神経根(しんけいこん)と言い、その部分が圧迫されている場合を、神経根型の脊柱管狭窄症と呼びます。
圧迫は左右どちらかですので、圧迫されている側の神経の範囲の部分に脊柱管狭窄症の症状が出ることが多いです。
②馬尾型脊柱管狭窄症
脊柱管の中を通っている神経は腰のあたりから何本かに分岐しています。
これを馬尾神経(ばびしんけい)と言い、その馬尾神経が圧迫されているものを、馬尾型の脊柱管狭窄症と言います。
馬尾神経は腰の両側に広がっていますので、このタイプの脊柱管狭窄症では両方の足に症状が出ることが多いです。
馬尾型の脊柱管狭窄症が悪化した場合に、腸や膀胱の働きに関係する神経にも影響が出て、排尿・排便障害なども出現してしまいます。
③混合型脊柱管狭窄症
①の神経根型と②の馬尾型の混合タイプの脊柱管狭窄症です。
神経根と馬尾神経が両方圧迫されることにより、混合型脊柱管狭窄症が生じます。
また、首の場合は「頚部脊柱管狭窄症」、腰の場合は「腰部脊柱管狭窄症」とも呼ぶことがあります。
【脊柱管狭窄症の原因】
年齢を重ねることで、脊柱を構成する組織に何らかの変化が生じ、それにより脊柱管狭窄症になってしまいます。
では脊柱管を圧迫する組織とは…?
①靭帯
脊柱の後ろに、黄色靭帯と呼ばれる、脊柱を支えている役割の靭帯があります。
この靭帯が弱くなったり、逆に分厚くなったりすることで脊柱管を圧迫し、脊柱管狭窄症を招きます。
②椎間関節
脊柱を構成する脊椎と脊椎の間の関節を椎間関節といいます。
この椎間関節の形が変わったり、肥厚することで脊柱管を圧迫し、脊柱管狭窄症を招きます。
③椎間板
脊椎と脊椎の間には椎間関節の他にも、椎間板と呼ばれる、背骨の衝撃に対してのクッションの役割をする部分があります。
この椎間板が前後に突出や膨張することで、脊柱管を圧迫し、脊柱管狭窄症を招きます。
脊柱管狭窄症にはこんな人がなりやすい!
脊柱管狭窄症になりやすい人は以下のような特徴があります。
・首や腰に負担のかかるスポーツや仕事をしている方
・首や腰をひねったり曲げたりする動作をすることの多い方
・前屈や長時間座位をとることが多い仕事の方
・50歳以上の年配の方の年代の方が多い
・女性より男性のほうが多い傾向がある
上記の方は脊柱管狭窄症に気を付ける必要があります。
≪column:腰椎すべり症から脊柱管狭窄症に進行・・・?≫
脊柱管狭窄症の症状が気になる方は、腰椎すべり症や腰椎分離症という言葉を聞いたことのある方はいませんか?
この疾患をもつ人は、普通の方に比べて2倍も脊柱管狭窄症になりやすいと言われています。
【腰椎すべり症・分離症】
まず、腰椎分離症は成長期の運動による負担が腰部かかることで腰椎に疲労骨折が生じ、この骨折が完全に治らないまま大人になると、のちのち分離症になります。
身体がまだ成長段階にある二十歳以下の若い年代に多い症状です。
また、分離症を放置すると、その椎体が徐々に前方に滑って突き出してしまい、すべり症に進行してしまいます。
分離症は一般のかたでは10%程度の発症率ですが、スポーツをやっている方では30%以上もの発症率です。
脊柱管狭窄症の検査と診断方法
【脊柱管狭窄症を疑ったときに行われる基本的な検査】
・問診
・動診
・画像検査・・・レントゲン、MRI、CT検査・脊髄造影など
・神経根ブロック
・筋電図 など
間欠性跛行が脊柱管狭窄症の特徴的な症状であると紹介しましたが、これは閉塞性動脈硬化症のような命に係わる病気でも起こるため、それとの判別が重要です。
判別には、
・下肢の動脈(足背動脈)の触知
・上肢と下肢での血圧の差
などが診察されます。
また脊柱管狭窄症の場合、日常生活での注意点(姿勢や保存療法)によって症状が出にくくできるという点でも閉塞性動脈硬化症と判別できます。
≪column:閉塞性動脈硬化症とはどんな病気?≫
閉塞性動脈硬化症とは、動脈硬化などの原因によって末梢の血流が悪くなり、痛みをもたらす病気です。
とくに60代前後の男性に多く発症します。
はじめは、足のしびれや冷えなどを感じ、症状が進行すると足が痛むようになります。
その後、脊柱管狭窄症と同じ症状である間欠跛行が現れます。
しかし、脊柱管狭窄症との違いは、安静でも痛みが生じるところです。
閉塞性動脈硬化症は動脈硬化が原因です。
そのため、足の血管の閉塞だけではなく、その他の血管も動脈硬化による影響が考えられます。
閉塞性動脈硬化症を発症した人の30%程度の方には、狭心症や心筋梗塞といった冠動脈疾患を、また20%程度の方には脳梗塞などの脳血管障害があったとのデータもあります。
脊柱管狭窄症の症状で気になっている方は、このような疾患も気にする必要があるんですね。
浜松市中央区のしんせつな鍼灸整骨院・整体院で脊柱管狭窄症を治しましょう!
まず、一般的な脊柱管狭窄症の治療方法について紹介したいと思います。
【脊柱管狭窄症の保存療法】
<脊柱管狭窄症の保存療法①薬物療法>
外用薬や消炎鎮痛剤、筋肉の緊張を和らげる筋弛緩剤などがあります。
またビタミンB12は神経の回復に効果があるとされており、ビタミン剤の内服も推奨されています。
<脊柱管狭窄症の保存療法②運動療法>
動けない場合に無理に動いて症状を悪化させてしまうことはもってのほかですが、あまり安静期間が長すぎると、かえって腰痛を長引かせてしまう原因になります。
長期間の安静の必要が必須でない場合には、適度な体操やストレッチ、筋肉トレーニングが重要です。
腰は腹筋や背筋によって支えられていますから、その筋肉が弱ってしまっては、腰痛を悪化させるのは明らかですね。
また、その筋肉が硬い状態では、その分骨に負担がかかりますから、脊柱管狭窄症の方にとって悪影響なのは明らかですね。
脊柱管狭窄症の方にお勧めのストレッチ、トレーニング方法について簡単に紹介します。
〈背部のストレッチ〉
・正座になり、手を前に伸ばすことで前に屈み、背中の筋肉が伸ばされます。
・仰向けになり両膝を抱えて、背中を丸めることで背中の筋肉が伸ばされます。
〈股関節前側のストレッチ〉
立ち膝の状態から、上半身を仰向けに寝かします。
痛みが強く出る方は無理のない範囲で行いましょう。
また、片足ずつ行うとよいでしょう。
このストレッチでは、腰が反りやすいですから、お腹を少し凹ませて行うイメージが良いでしょう。
〈体幹トレーニング〉
・腹式呼吸
胸ではなくおなかを膨らませる様にして深呼吸します。
おなかに手を当てると分かりやすいでしょう。
・プランク
うつぶせの状態で床に肘をつき、肘と足先で身体をまっすぐにキープします。
〈大殿筋トレーニング〉
仰向けで膝を曲げます。お尻を持ち上げ、体幹をまっすぐに保ちます。
これも腰を反りやすいので気を付けましょう。
以上のトレーニングやストレッチは自己流で行うとかえって脊柱管狭窄症の症状を悪化させる原因にもなりかねません。
私たち専門家がみなさんの脊柱管狭窄症の症状を見ながら、適切な方法を説明させていただきます。
<脊柱管狭窄症の保存療法③温熱療法>
これにより脊柱管狭窄症で悪くなった血流を改善させる効果があります。
また、脊柱管狭窄症の痛みだけではなく、リラックス効果や疲労の緩和にも役立ちます。
しかし、脊柱管狭窄症の症状が急性期の場合には行ってはいけない場合がありますので注意が必要です。
浜松市中央区のしんせつな鍼灸整骨院・整体院では、患部のホットパックやベッド自体が温まる機能を取り入れています。
<脊柱管狭窄症の保存療法④装具療法>
装具とは、脊柱管狭窄症ではコルセットを主に使用します。
コルセットを使用することで、腰の動きを有効に制限し、脊柱管狭窄症にとっての禁忌である後屈を避けます。
また、姿勢の矯正や、負担軽減にも役立ちます。
しかし、必要以上に装着することは、かえって腰部周辺の筋力低下を招きますので、専門家の装着の指示に従うことが重要です。
<脊柱管狭窄症の保存療法⑤マッサージ療法>
マッサージは、当整骨院が強みとしている手技の一つです。
マッサージによって腰痛の原因となっている筋肉の緊張を緩和し痛みを軽減させます。
<脊柱管狭窄症の保存療法⑥神経ブロック療法>
これは整形外科やペインクリニックなどで医師により行われます。
脊柱管狭窄症の痛みは交感神経を刺激し、さらなる痛みを引き起こす原因にもなります。
神経ブロックを行うことにより、脳への異常な痛み刺激の伝達を抑えます。
【脊柱管狭窄症の手術方法】
脊柱管狭窄症の治療はまずは保存療法から開始されますが、徐々に悪化していくと手術療法の適応になることがあります。
脊柱管狭窄症において手術の適応となる場合が多いのは以下の通りです。
・直腸膀胱障害(頻尿や残尿感・尿失禁・便秘などの症状)によって日常生活に影響がある場合
・保存療法で改善が得られない場合
・筋力低下や麻痺まで症状が出現している場合
・間欠性跛行により100m以上の歩行が困難な場合
脊柱管狭窄症の手術を以下に紹介します。
<脊柱管狭窄症の手術①部分椎弓切除術>
うつぶせで全身麻酔で行います。背中を数㎝切開します。
メリット・・・以前に比べて削る範囲が狭くなったため、後遺症が残りにくい。
デメリット・・・術後の創部痛、周手術期合併症のリスク、約2週間以上の入院
<脊柱管狭窄症の手術②内視鏡下脊柱管拡大術>
全身麻酔での内視鏡手術です。背中からアプローチします。
メリット・・・内視鏡手術であるため手術創が小さく目立たない。そのため手術後の痛みや合併症のリスクも少ない。入院も短期で可能。
デメリット・・・脊柱管狭窄症の範囲が広い場合、適応にならない。
<脊柱管狭窄症の手術③脊椎固定術>
腰痛分離症やすべり症、椎間板ヘルニアでも行われることがあります。
背中を切開し、固定器具を用いて固定します。
<脊柱管狭窄症の手術④脊椎刺激療法>
保存療法や上記の手術療法が効果がない場合に適応となることがあります。
電気刺激によって痛みを感じにくくします。